そんなことないよ!って言いたいけど、この間の羽生くんのよろこび方見てたらそうも言えなくて……



「わかった……ひとりでがんばってくる」



あきらめてそう言ったのに、愛里の冷やかしモードは全開だ。



「うわぁ、美羽ってばもう少し泣きついてくるかとおもったのに、ずいぶん物分かりいいねぇ。やっぱあれかな?羽生とならあんまり緊張しなさそうだからかな?」



ワクワクって文字が愛里の周りに出て来そうなくらいの目のかがやきように、ため息が出る。



「たしかに羽生くんだとあんまり緊張しないかもしれないけど、そーゆーんじゃないからね?」



クッションを抱えながら上目づかいにそう言うと、はいはいわかったわかったと適当に返事をする愛里。



「で?明日、どこで待ち合わせ?」



そう聞かれて、さっき羽生くんからきたLINEを見返す。



「えっと、明日11時にショッピングセンターのクリスマスツリーの下だって」



「ふーん、そっか。じゃあ時間的にランチとかも一緒にしちゃう感じかな?」



キラキラの目はさらにキラキラして、私をどんどん追い詰める。


男子と2人で出かけるってだけでも初めての経験なのに、ランチとか!


ほんと、大丈夫かなぁって心配になった。



「で?なに着ていくの?デートなんだから可愛くしてかなきゃね?制服とはちがう魅力アピールだよ?美羽」



「だーかーらー!デートじゃないし!アピールする必要もないってば!」