それは2時間目と3時間目の間の休み時間にふいに起こった出来事だった。



「丸山!すきあり!」



背後から男子が数人近づいてたことなんて全然気づかなくて。



「やっ…!!」



小さな悲鳴をあげて、私はその場にしゃがみ込んだ。


冷たい床にペタリと座り込んだ私の周りで、愛里とちょうどうちのクラスに遊びにきてた夏帆ちゃんの怒鳴り声が聞こえる。



「ちょっと!あんたたち!いーかげんにしなさいよ!」



守るように囲まれたその中で、ジワリと涙がにじんできた。


恥ずかしいのと怖いのといろんな感情が混ざり合う。


大丈夫?と背中をさすってくれる由宇ちゃんにも、返事ができない。


今日に限って体育もないから、スカートの下に半パンをはいてなかった。


見られた?という思いと、幼いころ男子にからかわれたトラウマがよみがえる。


最近、男子たちの間でスカートめくりが流行っていて、女子も警戒を強めてあえて見えてもいいようにハーフパンツをスカートの下にはくのが当たり前になっていた。


でもめくられてるのってわりと男子と仲のいい目立つような女子が多かったから、油断した。


まさか自分がされるとは思ってもいなかったから。


しかもこんな風に過剰に反応したせいで、教室の空気はびみょうなものになっちゃってる。


いまさら、立ち上がって普通の顔なんか出来ない。