裏山の螺旋階段でわかれた大悟sideです。



 のんちゃんと千尋ちゃんを2人きりにさせるために真央ちゃんと抜けてきた。

 2人ともバレバレなんだもんな。

 ま、2人が上手くいけば、いい加減『のんちゃん』なんて背筋がゾワゾワする呼び方しないで済むよな。

 千尋ちゃんを試すようなこと言ってみたりもしたけど、あの2人なら………。

「あーぁ。
 私ってどうしてライバルを送り込んじゃうようなことしたんだろう。」

 あれ。真央ちゃんの様子が変……。

 あぁ。この子も不思議な男のんちゃんの毒牙にやられたか。
 あんなのただの口下手野郎なのに。

「のんちゃんに謝りたいことがあるって口実だった?」

「………。」

 あー。地雷踏んだ?

 ま、こっちだってタダで真央ちゃんと2人になったわけじゃないんだよね。

「のんちゃん……っていうか、澤村のこと好きだったの?」

「スーパースターの澤村さんですよ?
 バスケかじってたら憧れるの当然じゃないですか。」

 あぁ。そっちね。

「それって好きじゃなくて憧れだよね?
 良かった。
 俺、真央ちゃんのこと好きだから。」

「………は?」

「こらこら。可愛い真央ちゃんが「は?」とか言っちゃいけません。」

 時間差で顔が真っ赤になっていく真央ちゃんが本当に可愛い。

 口をモゴモゴさせてなんとか言葉を絞り出すところも。

「だ、だって……。
 去年、担任だった時に告白した子がみんな「大悟先生はガキに興味ない」って言われるって。」

「はい。そうだね。
 真央ちゃんってまだ高校生でした?」

 え?えっ?と焦ってる姿も可愛い。

「だって。他の子にはよく「可愛い」とか「ここに優良物件あるよ?」とか………。
 私、言われたことない。」

 へぇ。気付いてたんだ。

「どうして真央ちゃんだけ言わなかったと思う?」

「え………私、だけ?」

 どうして俺がカギに興味ないって言ってたと思う?

 いいや。
 カギに興味ないって言い聞かせてた。
 自分自身に。

「俺、真央ちゃんのこと好きだったから。
 先生と生徒の関係のうちは言いたくなかったんだ。
 真央ちゃんには本当の気持ちだったから冗談じゃ嫌だった。」

 やっと言えたよ。
 これは澤村に感謝しないといけないかな。

「急に言われてもビックリして………。」

「まぁそれはそうかもね。
 1年待ったんだ。
 真央ちゃんの気持ちが傾くまで待つよ。」