ゆっくりと登っていく螺旋階段。

 疲れた人のために途中で降りることができる下への階段が所々にある。
 そこへ続く場所につないだ手を引っ張った。

「え…ちょっと。」

 隅にある椅子に座るとチビは傷が痛むのかと心配そうにしている。
 傷なんて痛くないけど心配されて悪い気はしない。

 心の赴くまま隣に座るチビにもたれかかった。

 それがチビの心配に拍車をかけたみたいだ。

「ねぇ。大丈夫?」

 大丈夫とは言いたくなくて質問とは関係ないことを質問する。

「喋らない俺のが好き?」

「え?は?」

 驚いているチビをじっと見つめた。

 久しぶりだし何から話そうかと……。
 言わなきゃいけないことは決まってるんだけど。

 そもそも喋る俺はなんか違うって言われたらどうしようもないしなぁ。

「刺したの前の彼女。」

 チビは大悟関係だと勘違いしてたみたいだ。
 大悟から聞かされて笑った。

 真実はこうだ。

 献身的に支える彼女を演じたいけど俺に見切りをつけて他の男の人へ行きたい彼女。
 短絡的に俺が死ねばいいと思ったらしい。

 献身的に支えていたのに将来に絶望した俺が自殺。
 悲劇のヒロインの彼女。

 この構図にしたかったのに、なかなかそうならないことに狂ってしまった彼女の成れの果て。

「うん。大悟先生からだいたい聞いたよ。
 王子様の護衛の王子様がのんちゃんで護衛が大悟先生って分かりにくいよ。」

 大悟からも全容を話したと聞いた。
 その上で言いたいことがあった。