「ハハッ。驚かせたいんだろ?
 もうちょっとしたら来るよ。
 車に乗せて来たんだから。」

 大悟先生の言葉通り、ゆっくりと車のドアが開いて中からのんちゃんが現れた。

「それにしても頑張ったね。
 バスケ経験ないのにレギュラーなんて。」

「頑張りましたよ!何より楽しかった。」

「楽しかったのは、のんちゃんが教えてくれたからだろ?」

 からかってくる大悟先生はやっぱり嫌いだ。

 私がしつこつ誘ったおかげで、のんちゃんはバスケ部で教えてくれるようなった。

 バスケ部のみんなも再起不能は嘘だったと分かってくれたし、変な人だけどバスケはすごい人だと理解を深めてくれた。

「真央ちゃんがバスケ楽しいからって言ってくれて良かった。
 ありがとね。」

「ううん。私は全然…。」

 俯く真央ちゃんの後ろから、ぬぼーっと人影が現れて文句を言った。

「レギュラー…嘘。」

「のんちゃん!」

「車でも言ってたぜ。
 1年生メンバーチームのレギュラーだから納得いかないらしいよ。」

「しかも弱小高校。」

「もう!レギュラーはレギュラーでしょ!」

 たたくと「痛い…」と顔を歪めた。

「ごめん。怪我人だった。」