「ねぇ。大悟先生のせいでのんちゃん怪我しそうだったよ!」

 のんちゃんはいいって言ってたけど絶対に大悟先生のせいだ。
 だってあの下駄箱、元々は大悟先生が使ってた場所。

「え?何が?」

 身に覚えないって顔が余計に憎たらしい。

「何がって!
 下駄箱にナイフが仕込まれてて…。」

「憶測で話さない方がいいんじゃない?
 俺のせい?
 それに本当に誰かが仕込んだの?」

 そりゃ憶測でしかないけど…。

 軽くてチャラくて、でもいざという時は頼りになると思ってた!
 自分のせいで友達が怪我してもいいってわけ?

 だいたい「本当に誰かが仕込んだの?」って冷静過ぎるでしょ。

「のんちゃんは高校生の子がどうにかできる奴じゃないよ?」

 見透かすような目つきで冷たい視線が刺さる。

「どうにかって別に…。」

「ならいいんだけど。」

 何も言い返せない千尋を一瞥して大悟先生は出て行った。