大悟先生のことはどうであれ、またあの姿が見れると胸を弾ませて体育館に向かう。
　その途中で汗がキラキラと光るのんちゃんを見つけた。

　もう終わっちゃったのかと残念に思って近づくとガッと重たい音がした。
　下駄箱を開けた時に中から何か落ちたみたいだ。

「……。」

　一向に拾おうとしない。
　何かおかしい。

　近づくとそれは真っすぐに床に突き刺さったナイフだった。

　……ナイフ？

「大丈夫なの？のんちゃん。」

　やる気なく振り返った顔は驚いたようには見えない。

「学校に……ナイフ持ってきてるの？」

「俺のじゃない。」

「！！！」

　だってそれは床に突き刺さっていて、もし少しでも前に足を出して下駄箱を開けていたら足に…。

　誰か呼んでこようと駆け出そうとした腕をつかまれた。

「いい。慣れてる。」

　慣れてるって何？
　バスケ選手で有名だったみたいだし有名だとこんな嫌がらせされるの？

　のんちゃんなんていつも話さないし、敵を作りそうって言ったら大悟先生の方で…。

　！！！

　もしかして本当に大悟先生の方なんじゃ…。