「ほんとに知りたいの?」
「知りたい」
「後できくんじゃなかったっていうの、なしよ」
生まれてくる赤ちゃんの性別を、翔さんは知りたくないと言っていた。でも、望はとても知りたがった。
それで、私と望だけが知っている状況でいたところ、急に翔さんが知りたいと言ってきたのだ。
「俺だけ仲間はずれな感じがいやになった」
「わかった」
余分に間を持たせてしまう。翔さん、どんな顔するんだろ?
「女の子」
半笑いみたいな、ポヨ~ッとした顔で止まった。
「そっかぁ、女の子か、うん、そっか…」
「楽しみね」
「想像できねぇっ…、顔がゆるむ…!超音波と3Ⅾの写真、もう1回見せて」
しばらく想像に浸らせてあげた。

写真を返してくれながら、「今度の休み、予定あったっけ?」ときいてくる。
「別にないよ」
「じゃあ、望と山歩きに行こうかな。弁当たのめる?」
妊娠後からは、とみに男子ふたりで外出するようになった。翔さんは鷹揚だから、望は甘えてるんだろうな。
「了解。天気いいらしいね。私は千絵さんとこに行こうかな」
「帰りに迎えに行くよ。晩ご飯、一緒に食べられるか聞いといて」
「だいじょうぶと思うよ。すきやきとかどう?」
「鈴音ちゃん、体重、要注意なんだろ。すきやきはやめよう」
あ~ぁ。つわりが落ち着いてから食事のおいしさを実感してるのに、お腹いっぱい食べられない。
「は~い」


プロポーズからとっても早かった結婚。

一日でも、一食でも多く一緒にと思ったから。

毎日をあなたと生きていく。