「鈴音ちゃん!」

慌てないでいいと言ったけど、飛び込む勢いで翔さんが来てくれた。
病院を出て警察で調書を取る前に翔さんに連絡をしたのだ。

おでこに包帯を巻かれ、頬は内出血で湿布を貼ってある。
服もカバンも汚れてて恥ずかしくなる。

でも来てくれてよかった。
中崎さんと会ったのが9時で、今3時過ぎ。時間の感覚も変になってる。
ホッとして、脱力感に襲われる。お昼を食べ損ねている。

「こんなケガして…痛いだろう。足も…」
「大丈夫。それよりお腹空いてるみたい。お昼食べてないの」
「え?あ、わかった。もう行っていいの?じゃあ何か食べに行こう」
警察署からすぐに連れ出してくれた。