「リノちゃん、ちょっといい?」
中崎さんが南ちゃんを迎えに来て連れ帰った後、千絵さんから呼ばれた話はまさにそれだった。
千絵さんも彼女が私をお母さんと思ってることに気づいた。

「どうしよう。あんな子どもに誤解させてしまって…」
「良かれと思って、だったんだけどね。私も望と同じように、孫のように接してたわ。リノちゃんだけじゃない。私こそ、もっと目を配るべきだった」
ふたりして消沈する。

「中崎さんと、そういう話になってるわけではないわよね?」
確認されてかぶりを振る。

「中崎さんに話したほうがいいよね?」
「そうね、これからの接し方もあるから、お父さんの意見がいちばん大事じゃない?」
「早めに会えるよう連絡してみる」