「話がそれたけど、なんで鈴音ちゃんなのかって言うとね、去年、望くんの担任になって、俺、何度も”望くんのお母さん”を意識したんだよ。鈴音ちゃんとは知らないうちからね」
「会ってないよ、去年は」
「うん、会ってない。でも、望くんと話したり絵日記見たりとかで、いいお母さんだなってイメージはあったんだよ。会ってない分、余計にどんなお母さんか気になってたから」
それはわかる気がする。

「望くん、お父さんにもらった誕生日カードを見せてくれたんだ。お父さんはいないけど、毎年メッセージをくれるってすごく喜んでた」

聡くんは望が二十歳になるまでのバースデーカードを書き溜めている。

「泣けてくるよね、どんな気持ちで書き残したんだろうって。で、メッセージ読んで、望くんに対する思いと、奥さんに対する思いと半々なのをみて、なんかグッときちゃって」

まだ低学年の望に私のことをお願いしてるもんね。
望宛のバースデーカードなのに、ママをよろしくって…。

「大事にしてたんだろうなって思って、すごく気になったんだ」