ラインや電話で少しづつ情報が伝わる。

―GWはどうするの?―
―望と水族館と映画に行く約束してる。翔さんは?―
―2,3日実家でも帰ってこようかな。鈴音ちゃんは帰らないの?―
―こっちにいますー


「聞いていい?結婚したの早いよね?具体的に何歳だったの?」
デリケートな話題だけど、まるで話さないのも、ね?
「二十歳」
「鈴音ちゃん、学生だろ?旦那さんはいくつだったの?」
「28。塾の先生だったの」
事細かに話す気はないけど、経緯をきいておいてもらおう。
「私、父の再婚で家に居づらくなってたの。それで、高校卒業してすぐに、彼が千絵さんと一緒に3人で暮らせるようにしてくれたの。今も実家とは疎遠なんだ。ケンカはしてないけど、帰省もしてない」

「下世話だけど、嫁姑ってむずかしくないの?」
「千絵さんとはなかよくやってるよ。いい人なの。
ほんとは彼のお母さんではなくて、伯母さんにあたる人なんだけどね。彼にはもちろん、私にも実の母親みたいな人よ」


―来週、林間学校よね。たいへんだけど、がんばって―
―何事もなく帰らなきゃね。気合い入れていくよ―
―気を付けてね―
―帰ってきたら電話するから待ってて―