ピンポ~ン
緊張しながらチャイムを押す。
「はーい♪」
中から、アーちゃんの母親が出てきた。
「これから1ヶ月間、よろしくお願いいたします」
俺はきちんと挨拶をした。
…おっと、自己紹介を忘れていたな。
「あっ、自己紹介遅れてすみません。桐谷 晴です」
あら~晴君!これからよろしく~♪などと1人で喋っている母親に適当
に相槌を打ちながら部屋の中を見回してみると、奥の方で呆然として
俺をじっと見つめている藤澤と目が合った。
…藤澤?
「あれ、藤澤?」
思わず声が出た。
なんでお前がここにいるの?
「ここ、藤澤の家?俺、これから藤澤と暮らすの?」
藤澤。お前が『アーちゃん』なのか?
ふと、入学式のことを思い出した。
藤澤を見て、確かに俺はアーちゃんに似ていると思った。
あの時の俺の直感は、正しかったんだ…