ーアーちゃん。
俺の初恋の人。
お互いにアーちゃん、セーくんって呼んでたから名前は憶えていない
けど、俺にとって特別な存在だったことに変わりはない。
7歳のとき、母親に連れられて俺の家に来たアーちゃんは、可愛らし
くて、でも簡単に崩れてしまいそうで…
守ってあげたいって、思った。
その日から俺の家に住むことになったアーちゃんははにかみ屋さん
で、何を聞いても答えてくれなかった。
だから俺は、そんなアーちゃんが俺に何でも話せるようになるよう努
力したんだ。
そして、ある朝。
「…セーくん…///」
聞きなれた声が聞きなれない言葉を発しているのが聞こえて、俺は振
り返った。
そこには、顔を真っ赤にしてうつむいているアーちゃんがいた。
「えっ…」
アーちゃんは真っ赤な顔をあげて、照れたように笑った。
「へへっ…///『桐谷くん』は堅苦しくてやだから、『セーくん』にし
ちゃった…///」
その天使のような笑みに、恋に落ちたんだ…。
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