ザッザッ……


深川さんであろう人の足音が、すぐ横を通り過ぎて、やがて聞こえなくなった。


しばらくして、佳奈ちゃんが被さっていたブレザーを取った。

明るくなった視界。


「ふぅ……回避成功っと」

ブレザーを羽織りながら、呟く佳奈ちゃん。

あたりを見渡すと、さっきまでそこに居たはずの深川さんの姿はなく、告白されていた方を見ると、薫くんがなにやら私たちに背を向けてスマホをいじっていた。


「花恋バイトでしょ?早く帰ろ」


「あ、そ、そうだった!行こっ!」



佳奈ちゃんと並んで、私はその場をあとにした。