ーあいー


『あい、お前なら大丈夫だ。』

「え?誰?」


暗闇の奥から声が聞こえた。


『あい。何も心配するな。』


一筋の光が見えそこへ向かって歩いて行った。
そこにいたのは、こうへいだった。


「こうへい?」


私は急いで駆け寄った。


『あい、これ以上来ちゃダメ』

「なんで?」

『これ以上来たら、戻れなくなるから。あいはまだこっちの世界にきちゃダメだよ。』

「もう、いいよ。だって、私誰にも求められてない…」

『あい?そんな事ないよ。はやとは、必死にあいと、こあの事守ろうとしてる。』

「え?」

『俺は、いつでもあい達の側で見守ってるから、なんでも知ってるよ?あいがもっと頼って欲しいって思ってる事も、はやとが俺との約束守れなくて、どうしていいか、分からなくなってる事も。全部知ってるよ。』

「こうへい…」

『あい?今2人の想いはすれ違ってる。お互いを大切に思い過ぎるあまり、上手く行かなくなっちゃってるんだ。だからちゃんと話し合えば必ず解決出来るから。』

「こうへい…。…わかった。ちゃんと話してみる。」

『いい子だ。あい?』

「なに?」

『綺麗になったな。』

「/////」


こうへいが微笑んだ。


『あい。俺の部屋一番上の引き出し、見てみ?鍵は貯金箱の中に入ってるから』

「え?」

『もう、大丈夫。じゃあな。』

「待ってよ。行かないで…」


こうへいは笑顔のまま光の中へ消えて行った。