5分後、黒のスーツをビシッと着こなした、背の高いイケメンが、私の目の前に颯爽と現れた。

「部長、よろしくお願いします」
ぺこっとお辞儀すると、篠宮部長は無言で私の手を引き、ホテルの前に停めていた高級車の助手席のドアを開けた。
私が乗り込むと、部長も運転席に乗り、エンジンをかけた。

すぐに発車するのかと思っていると、隣から視線を感じる。
部長は私をじーっと見ている。
「なんですか?」
部長の視線に堪えられず、俯く。

すると突然、部長の大きな手のひらが私の頬をそっと撫でた。
「かわいいな」
私の顔がかっと熱くなる。

急に鬼部長が甘々な雰囲気をいっぱい醸し出して!!
しかも、私の姿を見て開口一番「かわいいな」なんて!!

こんな時にどういう対応をしたらいいかなんて、地味子の私にはわからない。
顔は熱いし、心臓の鼓動はスピードを上げていく。