【陽音side】


「これより、文化祭を開催します!」


そんなアナウンスとともに開催された文化祭。
今日は10月31日。

みんなで一致団結して頑張って準備してきたから、この日をすごく楽しみにしていた。

だけど、みんなカイくんがあの日以来、ずっと学校に来ていないことを気にかけていた。

クラスのみんなは当日に来てくれることを願って、衣装もちゃんと作ってあるし、『快人、当日来るといいな』というクラスメイトの言葉を何回も聞いた。

その度にカイくんは本当にたくさんの人から愛されているんだな、と実感していた。

カイくんが学校に来られない理由を知っているのは私と増田くんと浜松くんだけ。

江奈には事情があって学校には来られないみたいだけど、私に想いはちゃんと伝える、と言ってある。


「陽音、メイド服似合いすぎ〜〜!」

「江奈に言われてもなんか嬉しくないんだけど」


そう言いながら、裏でメイド服を着て鏡の前でくるり、と回転する。

スタイル抜群で、メイド服がすごく似合っているのは江奈のほうだ。

しかもこのスカートは無駄に短いからなんかスースーして、変な感じがする。


「えー、褒めてるのにっ!」

「いや、まあ嬉しいけどさ」

「素直じゃないんだからーっ!」