キミのとなり










『リンゴはどうして赤いのだろうか。』











小さい頃はよくそんなことを考えていた気がする。









窓際の前から4番目。

教室のカーテンを閉めても真夏の昼ではどうしようもないらしい。

直射日光はオレンジのカーテンを透かして温度を上げ、教室をうっすらとしたオレンジに染めていく。









「……ふぁ……」






全く自分の睡眠欲には嫌気がさすな…。


今日何度目かもわからない欠伸を隠しながらうつらうつらとノートに目を落とす。


私いつこんなの書いたんだ…


そう思うくらいぼーっとしながら授業をうけていたようだ。
全く記憶にない数式が見覚えのある字で並んでいる。







「お、じゃあおわりだな。号令かけて」






私のクラスの数学担当芹沢先生が、腕時計を見ながらだるそうに言う。

そういう性分なのだろうが、生徒と一緒に欠伸をするのはやめてほしい。




…まぁ私が言えることじゃないけど?









「きりつ」




いつものことながら、委員長が眠けも感じさせぬキリッとした声で号令をかけた。












「仁花昼たべよー?」




「うん!」





自分のお弁当を持った二葉が私の席の前までやってくる。

席を立って教室を出ると途端に、






「ちょっと話したいことあるからきいてよ!」






双葉はニコッと笑う。







私と双葉は中学からの仲で、2年のときクラスが同じになってからなんとなく馬があってそれからいつも一緒にいる。


明るい性格からは想像もつかないような可愛い笑顔が印象的な、私の親友。








「わかったわかった、どうせいつもの先輩のことでしょー??」







生徒のひしめく購買の前を通り過ぎて、ホールを目指す。
廊下の窓から指す日差しがダイレクトに当たってくる。





「そーなんだけど、今回はビッグニュースだから!」



二葉は目を輝やかせて、今にもるんるんと歌を歌いそうな勢いで話す。







壁の代わりに大きな窓ガラスがはめてあるホールに入ると、数人の生徒がベンチに座って昼食をとっているのが見えた。


うちの学校はホールから外のテラスへと出ることが出来るようになっており、教室二つ分ほどのスペースにレンガ調の壁、テーブル、ベンチ、そして自動販売機が置いてある。


夏に外へ行くと暑いからとあまり人気はないが、実際はちょうど木陰に面しており落ち着いた雰囲気でむしろ教室より涼しい。


私達も見つけたのは結構最近で、初めて来た時は驚いた…




「で、先輩がどうかしたわけ?」




一番端のベンチに腰掛けてお弁当を広げる。

双葉はもう既に卵焼きを頬張っていた。
飲み込んでから口を開く。



「あのね、実は榎本先輩のいるバレー部が、明日の放課後体育館で練習試合するらしいの」







「練習試合?」






榎本先輩は男バレのキャプテンだって聞いたけど、私よく知らないんだよね…
でも言い出しそうなことは大体想像がつく。







「どこの高校かは忘れたんだけど、その試合は見学自由らしいの」





「……一緒に来てって?」





「なんでわかるの?!」





「…鼻にご飯ついてますけど」






私の忠告を無視して鼻ご飯女は昼の間永遠と先輩の話をしだしたので、私は聞き流しながら適当なことを考えて時間を潰した。








(バレー部かぁ……そういえばバレー部って今年に入っていきなり強くなったって聞いたけど、うまい人でも入部したのかな?)




例の榎本先輩はこの地域の選抜代表にも選ばれるほどの実力らしいけど、いつもベスト8止まりだ。
やっぱりメンバーに恵まれてないのかも。




バレーのことはよくわかんないけど、もし誰かすごい人が入ったのなら見てみたいとは思う…