なぜかボールは、あたしの前で走っていた男子の手を擦り抜けて… 「あーちゃん危ない!!」 それを呆気に眺めていたあたしの耳に、優悟の叫んだ声が伝わった。 気付けば、スローモーションのようにボールがあたしの方に向かって来ていて。 優悟の声に“危ない!”って頭が働いた頃にはもう遅い。 ――バコッ! 「いっ…」 縮こまってみたけれど、ボールが当たった反動で、頭を壁に打ち付けた。