どこかで見たような顔だけど、当然名前なんて知らない。 「明菜、あたし先に行ってるね!」 「あ、うん!」 隣にいたちいちゃんが、手を振りながら段々と小さくなっていく。 「あ、それでなんだけどさ…」 少し怪しい笑みを見せていたちいちゃんが、見えなくなった頃…彼が口を開いた。 「俺、明菜ちゃんに言いたいことがあって…」 「うん?」 言葉をよく詰まらせる彼に、段々と面倒になってきた。