バランスを崩しそうな蓮の首にしがみつく。


「ったく、俺にこんな事させるの明菜が初めてだ…」


蓮は調子を狂わされたかのように表情を歪めた。


あたしはそんな蓮を見てクスリと笑う。


「…おい」


笑ったあたしに、蓮が文句でも言おうとしたのか短い言葉を発した。


だけど、視線をずらした蓮は、小さく溜息をついた。


「寝てんじゃねーよ…ボケ面」


夜道に影が重なって。


蓮の口づけがあたしに落とされた。


夏の始まりを感じさせるような、まだ少し涼しげな夜だった。