蓮、待って。


あたし、今はあんたが…


「――――ス…」


そこまで言いかけて、思わず手で口を押さえた。


自然に漏れた一文字が、あたしを混乱へと導いていく。


今、あたし何て言おうとしてたの…?


「さぁ、明菜ちゃん。今の感情をどうぞ!」


「すみません!」


司会者がマイクを差し出した瞬間、あたしは走り出していた。