伊勢谷先生って普段は生徒に混じって軽いノリでトークしてるけど、蓋を開ければとても熱心で真面目な人だ。


授業やその準備だけでなく受け持った生徒ひとりひとりの将来のことまで考えるのだから、教師って……それも担任になるって大変なことだよね。


もしかしたらその仕事量はわたしが想像するよりもはるかに膨大で、勤務時間だけじゃおさまらないかもしれない。


「誰とは言わないが、中にはすごい熱い夢を持ってるやつがいてさぁ」

「夢……ですか?」

「もう学校まで決めて、一人暮らしてバイトしながら通うってビジョンまで見えてて」

「凄い……」


そこまでハッキリ将来が見えてるなんて。


「なんていうか、聞けば聞くほど茨の道で。大勢の中の一握りしか成功しないような世界でやっていくって相当覚悟いるだろうに、それをわかった上でやる気に満ちてやがる。夢を語るときのそいつの目は、すげぇ輝いてる」