「うらら、おはよー!……って、なにその顔」


翌朝、登校してきた架里奈がわたしを見てギョッとする。


「おはよう……」

「寝不足?」

「ちょっとね……」

「わかった。勉強いっぱいしたんだ?」

「……うん」


昨日は兄の罰ゲームを受けたくなくて死ぬ気で数学の教科書に書いてあることを頭に詰め込んだ。

その結果、兄から出された問題には正解できた。

奇跡的に。


だけど問題はそのあと。


「明日も出すから。この10倍は」


そんなことをさらっと言われてしまったわたしは一睡もせずに数学の教科書とにらめっこした。

朝まで。

今夜、兄に問題を出されるまでにチェックされたところを全て覚えなきゃならない。

でなきゃ、どんなことをされるかわからない。


補習より追試より怖い兄との勉強会……

恐るべし。