「昔からこんな感じなの?」

「中学時代、3年間ずっと誰かしらから言い寄られてたかな……」

「へぇ。じゃあ、うららも大変だったんだね」

「え?」

「さっきみたいに『渡しておいて〜』ってやつ、少なくなかったんじゃない?」

「……うん」


たしかに、ラブレターから冬には手編みのマフラーまで多種多様なプレゼントを渡すように頼まれてきた。


それが兄の元に渡ることはない。

だけど、捨てられることもない。


わたしの部屋のクローゼットに入っている。

捨てろと言われても、捨てられるはずない。

人の気持ちがこもったものをゴミ扱いになんてわたしはできない。


「一緒にいてときめかないの?」

「……へっ?」

「だって血は繋がってないわけじゃん。あんなにイケメンとひとつ屋根の下で暮らしたらドキドキしないの?」