「来栖さん! この通り!!」


一歩も引かない様子だ。


「あとね」

まっすぐに目を見つめてくる。

「手紙に書いてある連絡先に、必ずメッセ下さいって伝えて欲しいの」


そんなことまで!?

それってラインとかの?


「えっ……と、」

「お願い!!」

「でも。必ずって言われても……本人が納得するかどうかはわたしにはわからいし」


本当はわかる。

この子には申し訳ないが、まず無理だろう。

仮に兄が『うん、いいよ』なんて答えた日には嵐すらきそうだ。


「そこをなんとかお願いしてもらえないかな?」


そんなことをすれば、わたしが叱られる。


わたしは、よく知っている。

これまでずっと、兄が女子とプライベートで関わるのを露骨に嫌がってきたってことを。