物心ついた頃からわたしは、なにかと兄と比較されてきた。


「あら。雅くん満点だったの? 凄いねぇ」

「それに比べて、うららったら……」


来栖 雅(くるすみやび)

——わたしの兄は、完璧人間だ。


学校の成績は学年で一番。

運動神経抜群。


おまけに、甘いマスクの持ち主で……。


バレンタインのチョコレートは毎年持って帰るのが大変なくらいもらっている。