なにか夢をみていた気がする。

どんなのだったかは……思い出せない。


ふと、

似たようなことが昔あったような気がする。


起きた途端に忘れた夢を思い出そうとして、思い出せなかったような……。


「うららって」

「え?」

「ほんとに無防備だよねぇ」

「!」


ほんの、一瞬のできごとだった。

ベッドから身を起こしたわたしをもう一度ベッドに押し倒すと、


「……『起こしにきただけ』なわけ、ないでしょ?」


わたしに覆い被さり、ぐっと顔を寄せてくる。


「俺のこと警戒してるようで実はしてないよね?」

「そんなこと……」

「ねぇ、うらら」

「な、に……?」

「うららって、みんなに『そう』なの?」

「……え?」

「こんな風に、簡単に押し倒されちゃうの?」


なにを言っているの?

こんなこと、誰もして来ないよ。


わたしにこんな強引な嫌がらせして困らせてくるのは、お兄ちゃんだけでしょう?