「とりあえずのところ、インフルエンザではないらしい」


伊勢谷先生が、診察室から一人で出てきた。

ここは最寄りの病院。


先生は、うちにやってくるとすぐ

「病院行くぞ」

そういって兄を担ぎ、車に乗せ、病院まで運んできてくれた。


兄は、わたしが思っていた以上にぐったりしていた。


「お兄ちゃんは……」

「薬と点滴で、熱も引いてきてる」 

「熱が……そう、よかった……」

「だいぶラクになったんだろうな。眠ったよ」

「…………」

「まあ、座れって。ずっと立ってるつもりか?」