*
「んっ……、」
まぶしい光が目元に差し込んできて、目をつむっているのにさらに瞼をぎゅっと閉じてしまった。
朝が、きたんだ。
「おはよ、うらら」
「っ、お兄ちゃん」
「怖がることないのに。起こしにきただけだよ?」
「…………」
「条件反射になっちゃってるんだね」
その通りだ。兄を見ると自然と身体がこわばる。
そう、なっている。
わたしの身体は。
「雫さんが、下で待ってるよ。もうとっくに朝ごはんできてるのにって」
それで呼びにきてくれたんだ……。
朝は苦手ではない。
いつも自分で起きられる。
だけど今日は、深くはない眠りから、なかなか覚められなかった。


