キミは俺のモノでしょ

だけど。


「……わかった」

「だったいいんだけど」


そういうと、兄がわたしから手を離した。


わたしは兄に逆らえない。

もしかしたら、永遠に。


「その顔」

「……え?」

「そういう顔してて」


今、きっとわたし……

すごく泣きそうな顔をしていると思う。


なのに「いい表情だよ」なんて言ってにこりと微笑んでわたしのこと見る兄が心底怖いと思った。


……思ったけれど。


「ごめんね。痛かった?」


そのあと優しく頭を撫でられると恐怖が和らいでいったのも事実。


そしてやっぱりわたしは胸がドキドキして鳴り止まない。


薄々感じていること。


それは、

兄は『狂ってしまっている』のではないかということ。


そして、

わたしもまた『狂い始めている』のではないかということ。