兄は、わたしの変化に敏感である——。


「うらら、なにかいいことあった?」

「……へ?」

「なにスッキリした顔してんの」

「別に……」

「嘘だね。目が泳いでる」

「そんなこと、ないよ」

「俺のこと、欺(あざむ)けると思ってるの?」


その日の夜、当然のようにわたしの部屋にやってきた兄は(ノックなどしてはくれない)、さっそくわたしの変化に気づいた。


……いくらなんでも敏感すぎる。

どこかにレーダーでもついていそうなくらいに。