さぁ。お風呂に行こう。


「うらら」

「なに?」

「……なんでもない」


なんだろう。

とてもなんでもいいって顔には見えない。


お母さんも、年とったなぁ。

年の割には若く見えるにしても10年前の写真とか見るとやっぱり違う。


「明日のおかずなにがいい?」

「へ?」

「お弁当」

「まだ決まってないの?」

「決めてるけど。うらら、なにが食べたいかなって思って」


今後の参考にするのかな。


「……卵焼き」

「そんなのいつも入ってるじゃない」

「でも、一番好きかな。あれがお母さんっぽい」

「そっか。ありがと」

「こちらこそ、いつもありがとう」


なにこれ。改めていうの照れくさい。


「うらら」

「ん?」

「……ごめんね」


――え?


「お風呂、行ってらっしゃい」


そういって背中をポンッと叩く母は、いつもの母だった。

ううん。

いつもよりも明るかった。