「大丈夫よ。うららにはお小遣いでやりくりさせてるから」

と、母。


お小遣いは毎月決まった日に決まった額を母から手渡しでもらうのだが、遊園地に行くためのお金はもちろん本を買うお金なんかもそこから出している。


「そうだよ。お小遣いで足りてる」

「そうか。いやな、部下が娘を溺愛していて。『女の子はお金がかかりますね』なんていうから、なにか我慢してるものがあれば買ってやろうと思って」


嬉しい話だがいきなりだと思いつかない。


「それなら雅くんになにか買ってあげて。いつもすごく頑張ってるから」

「……そうだな。だけどあいつには、まだまだこれからもっと頑張ってもらわないと」


父は独立して弁護士事務所をかまえている。

将来はそこで兄も働かせるつもりでいるみたい。