散々合わせてもらってるのに、観覧車まで怖いなんて言えない。


それに、みんなで乗るんだったら怖さも紛れそうだし……。


「グループに別れて乗らない?」


そんなことを言い出したのは桜井さんだ。

観覧車の列はそんなに長くなくて、すぐにでも乗れそう。


「グループって? 紡」


いつの間にか架里奈が桜井さんを名前呼びしている。


「グー・チョキ・パーで別れるの?」

「ううん。私は雅くんと! それから架里奈は当然永浜くんと乗るでしょ? で、うららは航太と」

「結局あんたが雅くんと二人になりたいだけなんじゃん」


「バレちゃった?」

ペロリと舌を出す桜井さん。

……可愛くて憎めない。


「バーカ。みんなで乗るよ」

「だってだって。ここの観覧車のジンクス知らないの?」

「ジンクス?」

「付き合ってない男女が頂上でキスしたら結ばれるんだって」