ざわめく遊園地で

わたしの周りの空気だけが、ピタリと止まった気がした。


非日常的な空間が途端にモノクロに見える。

近くのメリーゴーランドも、そこで風船を配っているクマのキグルミも。

全部絵本の中の世界みたいだ。


そして、わたしだけ、そこにいない。


「理解不能。仮にもお前ら……兄妹だろ?」


仮にもって、なに。

兄妹だよ。お兄ちゃんとわたしは。

出逢ったときから。

当然、今も。


「そう、だよ」


声が。身体が。小刻みに震えてしまう。

それを悟られたくなくてそれ以上話せない。


「にーちゃんの話するのに——普通そんな顔、しないから」


そんな顔ってなに。

普通ってなに。


「見ててしんどい」

「どうして、航太くんがしんどくなるの」

「そんなの……好きだからに決まってる」