「ああ。遊園地の件ね?」

「え?」

「今朝聞いたわよ。雅くんから」


いつの間に。


「いいんじゃない?」

「!」

「息抜きになって。でも、意外ねぇ。雅くんが行きたがるなんて」

「お兄ちゃんが行きたがる……?」

「違うの? 雅くん、楽しみにしてるって言ってたわよ?」


きっと兄がそういって頼んだから了承してくれたんだ。

兄でなきゃ母は説得できなかったと思う。

ただでさえ成績不良なのに遊びにまで行きたいって言えば余計にガッカリさせていた。

それが、こうして『息抜き』扱いされている。


「たまには兄妹で羽を伸ばしてきなさい」

「うん……!」

「ただし。そのあとは気持ち切り替えて頑張りなさいよ?」

「……はい」

「よろしい」


悔しいけど、ぜんぶ、兄のおかげだ。