俯き考え事をする素振りを見せるうららに問いかけた。


「それじゃ、今日は学校休むの?」

「…………」

「なぁ、うらら!」


ビクリと肩をふるわせたあと、うららがこう呟いた。


「……お父さんとお母さんが」

「!」

「出てきたような」


やめろ。

思い出すな。


「なに……してたんだっけ」


いいか、うらら。

うららは昨夜、なにも見ていない。

これまでのように過ごせばいい。


「お父さんの部屋、だったかも」


消えてしまえ——そんな曖昧な記憶。


目に見えているものだけを信じていればいい。


わざわざ汚れたものを見なくて良い。


俺のいうとおりに生きろ。


そうでなきゃ


ほんとのことを知ってしまえば


俺たちは、


離れ離れになるかもしれないんだ……!