そのとき俺の腕の中にいたのは 小さく、細く、白く脆(もろ)い 俺と比べられたくらいでへこむ 繊細な女の子で 俺はそんなうららのこと ウザくて仕方なかったのに 消えて欲しかったのに うららの涙をぬぐいながら ——『この子は俺のモノだ』って思った。 理由なんてわからない。 理屈っぽい俺が。 このときは、考えることなしにそう思った。 ……思わずには、いられなかったんだ。