今ではそれぞれの自室で眠っている俺たちだけど、当時はうららの部屋にある二段ベッドで眠っていた。


俺は、上段で

うららは、下段。


その理由はひとつ。

怖がりなうららは上段に続くハシゴに登ることができなかったからだ。


その日は、妙に蒸し暑かった。


寝付けなかった俺はトイレに行こうとハシゴをおり、すやすやと眠るうららを起こさないように息をひそめて部屋を出た。


忘れもしない、うららと迎える3度目の梅雨。


俺は――初めて“恐怖”を覚えた。