6月はお互い忙しくて会えないのはわかってた、けど。
主任に会ったのは、5月に一緒に行った温泉が最後。

あれから毎日かかさずくれるおやすみメール。
だけど、声だって聞きたい時もある。

5月中はゲームにログインしていたジュンさんは、6月にはパッタリログインしなくなった。


「望亜奈さーん(涙)」

「どうしたの?桃ちゃん」

「私も望亜奈さんたちみたいに毎週会いたいです」

「だったら、会いに行っちゃえば?」


!!!!

そっか。
会いに行けばいいんだ。

考えてみれば5月に2回も帰ってきてくれた主任。
彼女なんだし、私から会いに行ってもいいんだ。

望亜奈さんの一言で、7月にこっそり主任に会いに行っちゃおう作戦を立ててみた。
っていっても、その週末主任に予定がないことを主任に知られないように確認しておかないといけない。
それを悟られないように私にできる、かな?


「行くんなら早めにチケットとかホテルとか手配しないといけないですよね」

「え?桃ちゃんなんでホテル?」


不思議顔の望亜奈さんに旅行といって思いつく限りのことを言ってみる。


「だって、まさかわざわざ会いに行くのにその日に帰ってくるなんてこと……」

「桃ちゃんてバカ?」

今度は呆れ顔の望亜奈さん。なんでどうしてそんなセリフ……


「彼女なんだから、主任の部屋に泊ったらいいんじゃない」

「えと、あ。そう、ですよね……」

「それとも?温泉まで行ってるんだし、そういうことしてないわけ、ないわよね?」


そういうこと。って望亜奈さんが言うから。
その時の事を思い出して一気に赤くなる。


「そうだよねー。そんなわけないよね、主任って実はけっこう……」

「望亜奈さんっ」


そういうことしたのは事実だけど。
だけど、なんていうか今でもあれは現実だったのか