彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)

三月になれば、異動の内示も聞こえ始めてくる。
だからその前に思い切って彼女に営業をしてみないかと聞いてみた。

向いていると思った。
彼女の繊細な気遣い、他店舗のスタッフともすぐに打ち解けた。
あとは少しの経験と知識をつければ……

ところがいい顔はしてもらえなかった。
すぐには無理かと思い、話を終え会議室を出ようとしたときに話があるから時間を作ってほしいと言われた。

待ち合わせたのは駅前のカフェ。
彼女が待つそこへ急いだ。
カフェで彼女が座っていたのは偶然かこの前俺が座っていた席。
外からも中からも見渡せるその席にいてくれたおかげですぐに気がついた。

すっかり夕飯の時間になっていたからそのままご飯に誘った。
そこで営業の話をすれば大人しく聞く彼女。

営業補佐で終わってほしくなかった。
もっと責任ある仕事を任せてみたかった。

……本当はそれを隣で見守っていたかった。

どんなに言葉を尽くしても彼女はイエスと言わず、「けっこう頑固ですね……」
ため息交じりにそういうと、「……よく言われます」と。

結局最後はハッキリと断られた。
正直もったいないと思った。


もっと彼女には広い世界を見てもらいたかった。

数日前朔也からメールが来ていた。
彼女と店に来るようにと。

そしてそこでやっと俺は朔也に電話をし、もうすぐ異動になる話をした。
結果また説教をされ、必ず彼女を連れてくるように念押しされた。
そのことを思い出し、朔也の話をすると彼女からの誘い。

……朔也。両方に仕掛けてんじゃねーかよ

親友のその行為が今はうれしかった。