彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)

モモは仕事と同様にレベル上げも頑張っていた。
だから、100になったらモモが欲しがっていたアバターをあげようと思っていた。

そしてモモが100になりギルドダンジョンにいくことになった。
うちのギルドはみんなスカイプで話しながらするけど、いくらヘッドセット越しの声とはいえ俺がしゃべったら気づくよな。

そんな心配はあっさりと解消された。
モモはヘッドセットを買い忘れたらしい。
俺はほっとしつつモモとPTを組み、耳から聞こえてくる情報をチャットでモモに伝える。
重要なことはチャットでいれてくれてるからほとんど会話はない。
ただ繋がっているそれだけで良かった。


朔也の策略か、どんどん彼女との距離を縮めようとする。
俺は今年度でもうここからいなくなる。
いつだって朔也に言えることだった。
そうしなかったのは、俺が彼女との距離を縮めたかったから。


クリスマスの日。
彼女が従兄弟とはいえ男と一緒に朔也の所に行ったと聞いて正直気分が悪かった。
気分が悪いなんてもんじゃない。言葉にするなら『ふざけんな』
誰に対しての言葉かと言われれば、自分に対してだ。
勝手にイライラしている俺に。
何も手を出せない俺に。
自分では彼女との距離を縮められないくせに。

最後にするつもりの初日の出。
彼女を誘っておくように言われていたにもかかわらず、今日は仕事納めの日。
就業後にコーヒーショップに連れだしやっとのことでその話をした。
朔也の名前を前面に出して。
それが功を奏したのか、「ぜひご一緒させてください」との快い返事。
まさか、その朔也がいけなくなるなんて。

アイツが血相を変えて俺の部屋に来たのはまだ約束よりも早い時間。
いくらなんでも……


「純哉ごめんっ、今日一緒にいけない。それと、悪い、今すぐ駅まで送って」

「は?]

「詳しく説明してる時間はないけど、アヤノが帰ってきてる」

「アヤノ?ってあのアヤノ?……て、まさかおまえ、まだ……」

「帰ってきたらなんでも話す。ともかく今は、まだ間に合うよな?終電」


朔也の慌てっぷりに驚いてもう一度見た。
いつだって余裕って顔で微笑んでるのに、アヤノのこととなるといつも……


「とりあえず車戻って時刻表見とけ。すぐ行くから」


この時間ならまだ東京行きの電車はあるはず。
クロゼットからダウンを取り出すと、鍵を閉めて部屋を出た。