来客の駐車スペースに停められていた朔也さんの車。
だけど私は一度も朔也さんと一緒に乗ったことがない。
私が助手席に座りシートベルトをしたのを確認すると主任は車のエンジンをかけた。
昨日はヴィンテージデニムにシャツをさらりと羽織って腕まくりしていた。
でも今日はチノクロスのスリムなパンツにカジュアルなシャツを着ている。
主任はポケットから携帯を取り出し、私に「持ってて」といって渡してきた。
いや、人の携帯を持っててって言われても、どうしたら?
「モモのカバンにいれといて」
「あ、はい」
運転中は確かに電話に出れないけど、でも他に置く場所……
視線を感じて隣を見ればカバンにいれるまで見ているつもりであろう主任の姿。
慌てて携帯をカバンにしまうと車は動き出した。
車の中にはごくごく小さなボリュームでラジオが流れていた。
これならつけないほうがいいんじゃないのってぐらいの音量。
そんな事を考えているうちに朔也さんのレストランに着いた。
「朔也が。会いたいって言ってましたから、とりあえず降りてください」
「あ、はい、」
主任のあとについていく。
レストランはまだオープン前だから当然クローズ。
「モモ携帯、」
そう言われてあわててカバンの中から主任の携帯を出す。
「あ、俺。今ついた」それだけ言って電話を切るとすぐにまた私に携帯を戻してきた。
ほどなくして開かれた扉。
そこにはいつもの甘い微笑みをたたえた朔也さんの姿。
「桃華ちゃん、久しぶりだね。」
いや、先週会いました。
朔也さんの料理教室で。
苦笑いをする私に、もう一度朔也さんは「ね?」って小首をかしげて言ってくる。
これは、話をあわせろってこと、かな?
「……はい、ご無沙汰してます」
全然ご無沙汰じゃないんだけど。
この前の帰りも一緒にお茶飲んだし。
「はい、これ。お弁当ね。摘まめるものにしておいたよ。残念ながらデザートまでは時間がなかったんだけど」
申し訳なさそうに言う朔也さんに
「いえ、ありがとうございます」
「じゃ、桃華ちゃん。純哉のことよろしくね?」
とウインクひとつ。
なぜそう言われたかわからずにキョトンとする私。
「気をつけて運転しろよ、純哉」
「あぁ、車は明日返すから…」
主任はそれだけ言うとお弁当の入った紙袋を持って出口に向かっていった。
だけど私は一度も朔也さんと一緒に乗ったことがない。
私が助手席に座りシートベルトをしたのを確認すると主任は車のエンジンをかけた。
昨日はヴィンテージデニムにシャツをさらりと羽織って腕まくりしていた。
でも今日はチノクロスのスリムなパンツにカジュアルなシャツを着ている。
主任はポケットから携帯を取り出し、私に「持ってて」といって渡してきた。
いや、人の携帯を持っててって言われても、どうしたら?
「モモのカバンにいれといて」
「あ、はい」
運転中は確かに電話に出れないけど、でも他に置く場所……
視線を感じて隣を見ればカバンにいれるまで見ているつもりであろう主任の姿。
慌てて携帯をカバンにしまうと車は動き出した。
車の中にはごくごく小さなボリュームでラジオが流れていた。
これならつけないほうがいいんじゃないのってぐらいの音量。
そんな事を考えているうちに朔也さんのレストランに着いた。
「朔也が。会いたいって言ってましたから、とりあえず降りてください」
「あ、はい、」
主任のあとについていく。
レストランはまだオープン前だから当然クローズ。
「モモ携帯、」
そう言われてあわててカバンの中から主任の携帯を出す。
「あ、俺。今ついた」それだけ言って電話を切るとすぐにまた私に携帯を戻してきた。
ほどなくして開かれた扉。
そこにはいつもの甘い微笑みをたたえた朔也さんの姿。
「桃華ちゃん、久しぶりだね。」
いや、先週会いました。
朔也さんの料理教室で。
苦笑いをする私に、もう一度朔也さんは「ね?」って小首をかしげて言ってくる。
これは、話をあわせろってこと、かな?
「……はい、ご無沙汰してます」
全然ご無沙汰じゃないんだけど。
この前の帰りも一緒にお茶飲んだし。
「はい、これ。お弁当ね。摘まめるものにしておいたよ。残念ながらデザートまでは時間がなかったんだけど」
申し訳なさそうに言う朔也さんに
「いえ、ありがとうございます」
「じゃ、桃華ちゃん。純哉のことよろしくね?」
とウインクひとつ。
なぜそう言われたかわからずにキョトンとする私。
「気をつけて運転しろよ、純哉」
「あぁ、車は明日返すから…」
主任はそれだけ言うとお弁当の入った紙袋を持って出口に向かっていった。

