アースについて早速生ビールを飲み始めた潤兄。

ほんとにおいしそうに飲むなぁ。
私もそんな風にお酒を飲めたらいいのに。


「そうだ、望亜奈さんがね。潤兄にお礼言ってた」

「あぁなんかうまくいったんだって?」

「そうみたい。今日もいっぱいノロケられちゃった」


ほんと幸せそうだった。
いいなぁ。私もあんな風に……


「あ、そうだ。桃がチョコ作ったって母さんに言ったらスゲー喜んでた」

「きっかけを作ってくれたのは伯母さんだし、逆にこっちがお礼を言いたいぐらい」

「へー」

「あれからもね、お菓子つくってるんだ」

「ふぅーん」


ちょっと、話し振っといて何、急にその気のない返事。
これだから潤兄は。

目の前につまみを並べてビールをおいしそうに飲む潤兄。
えっと、今日の趣旨ってなんでしたっけ?


「明日ヒマだったら今日のやり直しする?」

「えっと、明日はちょっと。約束があって……」

「そう」


チラッとこちらを見て、またビールを飲んだ潤兄、
明日誰とどこに行くかなんて潤兄には言えない。
この前も説教?みたいなのされたばかりだし。


「明日ちょっと早いから今日は早く寝ようかな、なんて」

「どこ行くの?」


あれ?
じゃあ帰ろうかってくるところじゃないの?そこ。
なんでそうなっちゃうの?


「えっと、水族館」

「ダレと?」


そこまで聞いちゃう?
でもまさか本当の事は言えないし、


「あー、ほら。友達。うん」


友達って便利な言葉。
そう言っておけばとりあえず納得するでしょ。


「へー……友達、ねぇ」


お願いだからそれ以上突っ込まないで下さい。


「あ、潤にぃ、ビールないみたい。頼もうか?」

「いいよ、もう。そろそろ帰ろう。明日早いんだろ?」

「あ、うん」


潤兄。諦めてくれたみたい。
これで家まで送ってあげれば任務完了。