体育館の入り口に居た先生に断りを入れ、
扉に手を掛ける。

 「その補佐は生徒会側全員で決めさせてもらった。言っておくが拒否権はない」

一歩踏み出すと同時に聞き慣れた名前を聞く。

 「1-B、一条 刹那」

それは紛れもなく私の名前だった。
思わず振り返れば、会長はまたも意地悪く笑っているように見える。
距離があってちゃんとは分からないがそんな気がした。

何で私なの?
さっきの事と言い目をつけられたのだろうか
その当てつけに嫌がらせでもする気?

体育館中が騒めく。
私は学校の中で有名人じゃないから顔も名前も聞いただけではピンとこないだろう。

辺りからは”誰?”だの”お前知ってる?”だの声が上がっていた。

このまま知らないふりをして体育館を出て行っても問題なさそう…

 「この後、生徒会室で待っている。必ず来るように」

…誰が行くものか
嫌がらせに何て従うわけないじゃない!

止めていた足を動かす。
何もなかったかのように。
出入口付近の先生は何か言いたげに私の視線を送ったが無視だ。

何であんな奴なんかの指示に従わなきゃいけないのよ。
嫌がらせにしては悪質すぎるわ。