近くのベンチに座るとゆっくりと話し始めた。

 「やく、そく・・・守れな、くて・・ごめ、ん」

約束?

 「橘さん?」

 「公園…約束し、た」

そのキーワードで私は彼を見つめた。

 「…あきちゃん?本物?」

 「...うん。ひさし、ぶり…せつな」

やっぱり私の勘違いじゃなかったんだ…
それに彼も私のことを覚えていてくれた。

 「約束はしょうがなよ。私だって人のこと言えないもの…恨みっこはなしよ」

彼は申し訳なさそうにしゅんとしてしまったので、頭を撫でる。

 「それにしてもびっくりした。急に連絡取れなくて…心配したんだよ」

 「ごめん、ね」

 「いいよ。気にしないであきちゃん。ってもうこの呼び方じゃ変よね?」

流石にこんなに大きくなった彼を
“ちゃん付け”で呼ぶのには少し無理がある気がする。

あの頃は私と同じくらいの身長だった
あきちゃんが、今じゃ190近くの長身だもの。

 「そのままで、いい」

 「いいの?」

 「う、ん」

…彼がいいならいっか

「あきちゃん?どうしたの?」

隣に座る私に寄りかかってきたあきちゃんに声を掛ける。

ちょっと重い…

 「ん、ねむ…い」

 「ちょっ!こんなことろで寝ないでよ」

 「んー」

昔と変わらないわ…
私の知っている彼のままで何だかホッとする。

あきちゃんがここまで育ったのって、寝る子は育つ的なやつ…?

 「起きてー寝るなら家に帰ってからにしなよ」

 「んー」

 「もう!聞いてないでしょ!」