放課後、橘さんを連れ校内案内をしていた。

 「ここが保健室で、向かい側が資料室です」

こくこくと彼が頷くのは見届けてから、次の場所へと足を進める。

それを繰り返して、よく使う教室の案内を終えた。

 「徐々に覚えていけばいいので、覚えられなくても気にしなくて大丈夫ですからね」

 「ん、ありが、と」

そう言って微笑んでは私の頭を撫でる彼。

やっぱり似てるかも…

 「…あきちゃん?」

 「.. .. ?」

思わず声に出てしまいすぐさま口を閉じた。

 「なっ!なんでもないです」

彼の反応を見る限り、絶対人違いだ!
恥ずかしいっ!!

 「ま、って」

彼に腕を引かれ立ち止まる。

 「今のは忘れてください!」

 「お、はなし、いい…?」

 「えっ…大丈夫ですけど」

じっと見つめられて首を傾げる。

 「ん、あり…がと」

彼はふわりと笑った。