主犯を睨みつける。

 「っ何よ!」

 「集団で1人をいじめて楽しい?」

自分でもびっくりするまでに冷たい声が出た。

 「ねぇ、教えて?」

あぁ…また、感情抑えきれなかった。
最近駄目だな。
情緒不安定だ。
薬増やしてもらわなきゃ…

 「っ、楽しいからやってるのよ!」

彼女は目を泳がせながら荒々しく言う。

 「そうですか…自分の娯楽のためなら相手を傷つけることに躊躇しないんですね」

可哀想な人。
愚かな人。
醜い人。

私は拳をギュッと握る。

 「何なのよさっきから!」

 「くだらない」

 「はぁ?」

 「貴方の思考は理解できません。そんなくだらないことをして何になるんですか?」

 「このっ!馬鹿にするのもいい加減にしなさいよ!!」

 「馬鹿にしてるのは貴方達でしょ」

言葉にカッとなった彼女に掴みかかられそのまま殴られる。
流石に大きな音が鳴り、先生が止めに入った。

 「…一条、保健室行ってこい」
 
ほら、これだけしか言わない。
こうなった訳も聞かずにそう言う。
否、見ていたから何も言わないのか…

本当笑えてくる。

 「…分かりました」

目の前がクラリとし口を押えれば手の甲には血が付いた。

 「鼻血だ…」

体操着が汚れないよう配慮しながら、更衣室に向かう。
保健室に行ったって痛みは緩和されない。
だったらこのまま着替えてどこかで休んでいた方が有効的だ。

更衣室の鏡で確認するも痣になりそうな跡がいくつもできていた。
幸いカーディガンを羽織れば見えないしあの人達には何も言われないだろう。
頬の腫れはもうしょうがない。

結っていた髪を解き私は教室に戻った。